成否をにぎるのは教員育成プログラム

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成否をにぎるのは教員育成プログラム
金谷 憲 (かなたに けん) 東京学芸大学 名誉教授

選択的なリソースの重点配分を

2014年度に8億600万円の予算がつき、実施期間5年で、全国56校が先日指定されたスーパーグローバルハイスクール
(SGH)事業(http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/sgh/1346060.htm)の意義について、お聞かせください。
 10年前でいうとSELHi 、今回はスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定と、国が選択的にリソースを重点配分することを本気で始めたことは大きな進歩です。英語教育に特化し、しかもある方向で重点的に予算を出すことを前はできなかった。
「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)」事業(http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1293088.htm)については平成14年度から開始し、延べ166件169校で実施しました。
 このときに何人かの委員が、高校だけでなく、中学でも実施しようと提案したが、中学校は義務教育であり、A校には予算がついてB校はダメというのは無理という建前論で無視されてしまいました。
 たしかに、「遍く」ということでは日本はかなり成果を上げてきました。いま、中学は義務教育、高校は全入という時代になり、選択的にお金をかけ始めたことは大きな変化です。教育とは空理空論ではなく、実際に示すこと。どこかで実践、お手本を示し、その成果をまわりに普及していく。どこかで選択的にやるしかないのです。
 この関連で10数年前に私が座長を務めた英語教育協議会(ELEC)のプロジェクトチーム(ELEC Crossroads Project)がまとめた「英語教育の目標および目標達成の方策」という政策提言の内容は、いまでも有効かつベストです。ぜひ一読してみてください。
※参考: ELEC Crossroads Project 政策提言

       https://www.elec.or.jp/teacher/crossroad_jp.html

英語教員の自主研修がカギ

日本の英語教育改革の成否は、英語教育を担っていらっしゃる先生方の努力にかかっていますね
 「英語教育改革実施計画」にある体制整備計画、教員養成プログラムが一番重要です。東京学芸大で30年以上教えてきた経験から言いますと、大学を出てすぐ英語を英語で教えるのは特別な研修なしでは無理です。学芸大では、単位にははらないのですが、一週間泊まり込みで英語漬けにする研修プログラムを、年2回実践してきました。これを2回参加し、後進の指導をする立場のリーダーとなって2回参加し、さらに一週間の単位になる演習を1回から2回受講する。この位の研修を受けてやっと、英語で英語を教えられる自信がつきます。
 10年前の悉皆研修では、主に夏期、4日から5日程度、通いで9時から5時の研修を受けることが義務付けられましたが、自分が実際に教えてみる研修ではありませんでした。ある県では、70人の受講者を15人から20人の小グループに分け、リーダーを決め、模擬授業を順番に実施しましたが、大変なコストと時間がかかりました。
 そこで私は、コストをかけないで教員研修を実施する方策を考えだしました。教育委員会主催方式をやめて、全国の10校に1校、模擬授業の演習できる場、「お稽古」の場所を決め、毎週土日に開講する。地域リーダーを決め、ここで何か月間か訓練するというものです。そうでもしないと間に合わない。研修ではなく、「お稽古」です。スポーツでも日本舞踊でも、年一回しか練習しないプロはいない。稽古をしないでできるスキルはありません。
 問題は、学校教師が忙しすぎること。シーズンオフがなくなっています。プロ野球選手は、7か月はたらいて5か月はシーズンオフ。英語の先生方が新しいことにチャレンジする時間がない。ここがどうにかならないと、あとはどうにもならないのではないでしょうか。
(文責:編集部)
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