大阪市では、自分の考えや意見を英語で伝えることができるコミュニケーション能力を育成するため、英語教育の強化を図る「英語イノベーション事業」を平成25年度より実施している。
大阪市独自の小学校1年生からの英語教育
≪概要≫
・中学校8校とその校区小学校19校を英語教育重点校として選定した。
・小学校1学年から英語の音声に慣れ親しむ活動に取り組んでいる。
・1~6年生全員対象に、15分のモジュール学習を週3回実施している。
・学校が工夫して(例えば、校時を工夫し、朝の15分、昼休み、放課後等)教育課程外で設定。
・教育委員会が配付する指導案を基に、発達段階に応じてDVD等の教材を使用し、担任が指導する。
・アドバイザーを派遣し、指導者に対する支援を行う。
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≪カリキュラムの構成≫
① 歌・チャンツ
② フォニックス(文字付き音声指導)
③ 絵本
④ タスク活動
≪カリキュラムの方針≫
① トップダウン的指導 | |
歌、チャンツ、DVD・CD付き絵本やビッグブックを用いて、内容を推測しながら大量の英語を聞かせ概要をつかむトップダウンの指導 | |
② ボトムアップ的指導 | |
アルファベット・ジングルによる音素・音韻認識、アルファベット名前読み・文字の形など 豊富な英語のインプットを導入し、英語の音と文字を結び付けるボトムアップの指導 |
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③ 覚えた単語や表現を用いて伝え合う楽しさを体験するタスク活動。 |
≪効果検証≫
●音韻認識面(スキル面)
本取組は、将来英文を読めるようになることを念頭に置いている。読むための最も基礎となるのが、音韻認識力(音に対する敏感さ)と文字認識力である。平成25年度においては、大文字・小文字・初頭音について実施した。
(1) 方法 | ||
① |
文字認識…アルファベットの名前を聞いてそのアルファベットを3文字の中から選ぶ。(大文字・小文字各10問) |
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② |
音素認識…単語を2つ聞いて、最初の音が同じか違うかを答える。(15問) |
(2) 結果
3項目すべてにおいて、全学年で有意な向上が見られた。
●情意面(態度面)
本取組によって小学校1年生から取り組む英語教育は、小中一貫したものである。児童が主体的に学び続けるためには、英語学習に対する積極的な態度を維持させる必要がある。
(1) 方法
・情意面アンケート…平成25年10月、26年2月にアンケート方式で実施し、傾向と変化を見る。低学年20項目、中学年25項目、高学年30項目を実施した。 | |
・ふり返りシート…単元の終わり(毎月1回)に実施し、学習内容について、Can-do形式と自由記述欄で記入した。 |
(2) 結果(顕著な項目)
・情意面アンケート 「活動が楽しいから取り組んでいる」/「英語をもっと学べば、きっと英語の力は伸びると思う/「英語でできるようになったことが、前と比べて少しずつ増えてきていると思う。」/「英語ができるとか、できないとかは関係なく、できれば楽しく学んでいたい。」等 |
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[音から文字へ(ペア読み)] |
(参考資料)大阪市「英語イノベーション事業」小学校15分モジュール学習指導案及び使用教材
(大阪市教育委員会事務局 指導部英語教育グループ 総括指導主 筒井 良惠)