世界で活躍する人にインタビュー トップスイマーからUNICEFの教育支援活動へ

Top>Topics>世界で活躍する人にインタビュー>トップスイマーからUNICEFの教育支援活動へ

Topics

世界とつながる人にインタビュー
トップスイマーからUNICEFの教育支援活動へ
インタビュー:井本 直歩子 さん(いもと なおこ) 国連児童基金(ユニセフ)プログラム・オフィサー

UNICEF職員として教育支援活動に従事されている井本直歩子さん。かつてはオリンピックの競泳代表選手として活躍されていた井本さんに、現在の活動に至るまでの経緯や支援活動に欠かせない英語力の磨き方、などについてお聞きしました。

子どもの頃から抱いていた英語への憧れ

2003年からJICAの研修職員としてガーナやシエラレオネ、ルワンダなどで復興支援にあたり、2007年からは国連児童基金(ユニセフ)の職員としてスリランカ、ハイチ、フィリピンなどで教育支援活動に従事してきた。
国際援助の道をまっすぐに歩んできた井本直歩子さんだが、意外な経歴を持っている。かつて、競泳の日本代表として活躍していたトップスイマーだったことだ。1996年にはアトランタオリンピックに出場している。
井本さんが今の仕事を選択した背景には、英語と外国への憧れがあったと言う。
「小学生くらいの頃から英語を話したい、いつかは英語を使って仕事をしたいと漠然と思っていました。外国への関心も強かったです。というのも、両親がとても外国に興味を持っていたんです。私も自然と海外への憧れが芽生えていましたし、英語を話せるようになることへの憧れもありました」
子供の頃から抱いていた、英語を話せるようになりたい、英語を使う仕事をしたいという思いとともに、進路を決定付けたのは選手としての体験にあった。

大会で目にした光景

小学生時代から全国大会で活躍していた井本さんは、中学生になると国際大会に出場するようになっていた。
大会で、海外の選手たちと接する中で、胸を衝かれる光景を目にした。
「例えば、選手村の食事の風景ですね。とにかく食べられるだけ食べている選手たちがいたんですね。レースのことなど関係なく、いっぱい食べている。いくら食べても無料だからです。一方で私は、レースに備えて、『炭水化物を多めにしよう、ビタミンを摂ろう』と考えて臨んでいました。」
食事ばかりではない。破れた水着で出場している選手がいた。国が戦争している最中なのに、参加している選手もいた。彼らの生活環境を思うと同時に、自分との違いを感じて思った。
「自分はなんて恵まれているんだろう」
新聞を読んでいても、ユーゴスラビアの紛争やルワンダの大虐殺の記事に目が吸い寄せられた。
「貧しい国の人々を助けたい」という思いは、引退後、紛争地の復興支援という形で現実となった。

英語ができるから叶った目標

JICAのスタッフとしてガーナやシエラレオネ、ルワンダで任務に従事し、ユニセフ職員としてまずスリランカに赴任。2010年から2013年秋までは同年の大地震で約22万人の犠牲者が出たハイチへ。しばし帰国したあと、台風で甚大な被害を受けたフィリピンへ赴任。2014年秋からは、アフリカのマリに赴任している。
それぞれの地で、学校に行くことができない子どもたちを学校に戻すための支援をはじめ、さまざまな仕事に取り組んできた。
その中では、赴任地の政治家とやりあうこともあった。各国から集まっているユニセフの職員たちやNGOなどにかかわる人々とのコミュニケーションも欠かせない。
だから、英語の重要性を肌身に感じている。
「英語ができるということは欠かせないですよね。英語ができなかったら何も始まらないし、できるにしても相当のレベルでできないとなかなか認めてもらえない。話すのも書くのもです。コミュニケーションって何をするにしても大切じゃないですか。英語が得意なことで良い関係が築けたりすることもありましたね。私が国連で働くことができるようになったのも、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(将来的に国際機関で正規職員として勤務することを志望する若手に、各国政府が経費を負担することにより一定期間、国際機関で実際に勤務する機会を提供するもの)という制度に受かったからなんです。それに受かるにはものすごい点数を取らないといけない。英語ができたから土俵に上がれたと思います。」

英語の勉強方法

井本さんはどのようにしてそれだけの英語力を身に付けてきたのか。
「英語は大好きだったので、学校の勉強はしっかりやりました。選手であったときは海外の大会に行く機会も多かったので積極的に話すようにしました。」
また、井本さんは、2度留学経験を持っている。
「最初にアメリカの大学に行ったときは、日本語を一切遮断しました。親にも『電話しないでほしい』と伝えてあったくらいです(笑)」
では、留学する機会が得られず、国内で学ぶとしたら?
井本さんは、こんなアドバイスをする。
「何でもいいので、生活の中で英語に触れる機会を増やすことが大事だと思います。それこそ、携帯電話やメールなどの設定も英語にするといいのではないでしょうか。私はフランス語も勉強してきましたが、今、携帯電話の表示はフランス語にしています。曜日もフランス語で示されるし、ニュースも全部フランス語。電車の中ではポッドキャストを聴いていますし、日記は英語かフランス語でつけています。それと同じくらい、英語に触れるようにしておくことが大切ですし、積み重ねが重要だと思います」
それだけの努力を重ねてきて、井本さんの今がある。

(スポーツライター 松原 孝臣)

このページの先頭へ
ELEC