世界で活躍する人にインタビュー 国境を越えて、人々の心をつなぐピアニスト

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世界とつながる人にインタビュー
国境を越えて、人々の心をつなぐピアニスト
インタビュー:松居 慶子 さん(まつい けいこ) 作曲家・ピアニスト

松居慶子公式ホームページ: http://www.keikomatsui.com/

ジャズピアニストで作曲家の松居慶子さん。アメリカでの初のレコーディングは高校生のとき、その後は、コンサートでMCを務めるなど演奏活動を広げていった。全米ツアーを始めヨーロッパ、アジア、日本、つねに世界のどこかでコンサートが開催されている。最近では、ロシアやウクライナにも活動の場を広げている松居さんに、世界中の人々と接する醍醐味を聞いた。

アルバム「The road...」からThe road...



松居さんの代表曲「Deep Blue」を演奏するとき、ファンへ伝えるメッセージ
高校生のときにアメリカ・デビュー、実践的な英語

5歳からクラシックのピアノを習い始めた松居さんだが、中学生のときにJAZZや他のジャンルに惹かれ、高校生になると映画音楽の作曲をするなど音楽家として活動を始めるようになる。高校生のときアメリカのロサンゼルスにレコーディングのために行き、ネイザン・イースト(ベース)、ヴィニー・カリウタ(ドラマー)など、世界的に活躍する超一流ミュージシャンと共演した。松居さんの英語力は主に学校で英語の授業を一生懸命受けていたという一般的なものだったというが、レコーディングスタジオで会うアメリカ人の音楽家たちとは、はじめから自然に英語で会話ができていた。それは音楽で気持ちが通じ合っていたことが大きく、だからこそ英語を話すことに抵抗感を持たなかったので「英語デビューとしては幸せだった」、と当時を振り返る。

その後もアメリカのコンサートではメインのMC (master of ceremony/司会) を任されるなど、英語を使う機会が増えていった。
「実は、大学生のときにしっかり英会話を学ぼうと、英会話学校の体験クラスに行ったこともありました。でも、先生からみんなの前で自己紹介からと言われたときに英語がでてこなかったのです。私の場合ですが、伝えたいことがないと話せないんだなとわかって、それからはMCだったり、雑誌の取材や仕事の仲間と話すためだったりと実践的なもので英語を学んでいきました。でも、それは音楽があったからで、周りの人たちも理解しようとしてくれるなど環境もよかったとことはまちがいないと思います。漠然と英語というよりは、必要に迫られたのです。」

全米ツアーからワールドツアーに

1987年にアルバム「水滴」をアメリカで発売してから、何度もアメリカでコンサートを行い、徐々に全米ツアーへと拡大していった。冒頭の松居さんの代表作「Deep Blue」では、全米ビルボード誌コンテンポラリージャズ部門で日本人として初めての第1位を獲得するという快挙を成し遂げた。その後は、アメリカにとどまらずヨーロッパ、アジア、アフリカ、ロシアなど世界中をツアーで回るようになる。

ワールドツアーに出て感じた言葉の壁

アメリカにいるときには、英語を使って日常生活を送り、バンドのメンバーやファンとも英語で話していたので、言葉の壁を感じることがなかった。しかし、ワールドツアーに出て、日本語、英語圏以外の国に行ったときに、看板を見ても新聞を見てもまったく意味がわからず、初めて言葉の壁を感じたという。

いまロシア語を勉強中だそうだが、ロシアでツアーをするときは、英語とロシア語を話す通訳に同行してもらう。松居さんが英語を話し、通訳がそれを現地の言葉に訳すのだ。ロシアのテレビでインタビューを受けたときのこと。テレビ局が用意してくれた通訳が訳し始めたところ、松居さんのツアーに同行していたウクライナ人のツアーマネージャーが、「ちょっと待って。Keikoが言っていることはそうじゃなくて・・・」、と待ったをかけた。ロシア語に訳されたものが、松居さんが話したこととは、違う内容で伝わっていたのだ。

「通訳は私の思いや考えを伝えてくれる大切なパートナー。心や気持ち、ニュアンスを受け取って、その国に合う適切な言葉に訳してくれないとうまくいきません。私は、アーティストとして、どのようにメディアが取り上げて、伝えられていくのか見極めていくことが大事だと思っています。ですから、通訳の人とは、信頼関係を大切にしています。そして、お互いに齟齬がないように、私が大事に思っていることを常に伝えておくことも重要で、そのためにも豊かな英語力が必要です」

このときはインタビューの途中で、テレビ局の通訳から、松居さんの連れてきた通訳に交代してもらうことになった。結果的に、通訳を代えたことで、内容の濃い会話ができ、お互いに納得のいく番組作りができた。

サハリン(ロシア)でのコンサート後にカムチャッカクラブ(蟹)を
スタッフと共に堪能!
海外公演のチケット
ロサンゼルスの"Universal Music Award"で表彰
世界中のファンへ
ワシントン・ポスト掲載

現在は、インターネットのTwitterを活用して、松居さん自身が今いる場所や、世界のあちこちで行われたコンサート、レコーディングの様子を発信している。
松居さんのTwitterアドレスには、日本のファンはもちろん、世界中の音楽家の仲間やファンが、メッセージを送っていて、ロシア語やスペイン語も入り交じり、世界中のファンが交流する空間となっている。

インターネットが発達する前は、世界中のファンから、英語でファンレターをたくさんもらった。
「どの国に行って演奏しても、国境や人種を超えて、その場にいるみんながひとつになったと思う瞬間があります。毎回毎回、ものすごい経験をさせていただいています。今でもよく覚えているのが、20年前にもらったファンレターに書いてあった言葉。

"By listening to your music, I feel that your music brings us back to the roots of the soul"
(あなたの音楽を聴くと、魂のふるさとに戻れる気がする)。

「鳥肌がたって、感激しましたね。いつもコンサートで演奏していると、言葉を越えた空間や時間を感じて、私の曲を聴いた人と、そこで会っている気がするのです。ファンレターの言葉を読んで、いっそうその思いが強くなりました。」

松居さんTwitterアカウントへのリンク : http://twitter.com/keikomatsui
Blue Note Tokyoで演奏
コンサートで、演奏のあいまにファンに語りかける松居さん
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好きな英語表現

(文責:編集部 高岡幸佳 / 取材:音楽ライター 山本美芽)

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