世界で活躍する人にインタビュー 英語教師から人気料理教室の先生へ転身

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世界とつながる人にインタビュー
英語教師から人気料理教室の先生へ転身
インタビュー:秋山 亜裕子(あきやま あゆこ)さん

フェリス女学院大学 大学院博士前期課程修了。大学院在籍中より都内の私立中高一貫校で教壇に立ち始める。卒業後は専任教諭として勤務しながら、週末など余暇を利用し、日本在住の外国人にボランティアで
和食を教え始めた。かねてからの日本食ブームより料理教室を開いてほしいという要望が増えたことから、専任教諭から講師へと転身し、2013年より開成学園中学・高等学校の英語講師として勤務しながら、料理
教室Buddha Bellies Cooking School Tokyoを本格的に始動。

年間1300人の訪日外国人が参加する人気料理教室

東京の中心エリア、神保町の駅すぐ近くにある小さなビルの一室に年間1300人の訪日外国人が訪れる。世界最大の旅の口コミサイト・トリップアドバイザーでは「東京すべきこと」アクティビティー部門で1位にランクインされている料理教室がある。壁には洋書が並び中央にあるテーブルを6~8人が我が家のテーブルを囲むように共に料理を作る。オーストラリア、イギリス、フランス、シンガポール、香港など、今までに約50カ国以上の国々からくる旅行者たち、日本在住の外国人がこの教室で学んでいった。

日本文化を料理教室を通して発信する

元々、食べること、料理をすることが大好きで、「近茶流 江戸懐石」の免状取得、和菓子職人に師事など、和食の基本からアレンジまで幅広く習得してきた。また、海外旅行では必ず料理教室を探して、その国の料理を習うという。「料理を学ぶというのは、その国の文化を学ぶことと同じで非常に深いところまで楽しく自然に学べます。それは、私が海外で料理教室を通して感じていたことでもあります。」

自身の経験からも単なる料理教室ではなく、和食と歳時記や歴史など文化的背景を絡めることにより、更に知識が深まるように説明する。

例えばお寿司については、こんな具合だ。
ヘルシーなイメージのあるお寿司だが、加える砂糖の量に驚きの声が上がる。それと同時になぜ砂糖を入れるのか、必ず質問がでるそうだ。そこで、元々お寿司は保存食で、砂糖はご飯をやわらかく保ち、乾燥を防ぐと説明する。また、白いお米は、昔は身分の高い人しか食べられないもので、江戸時代の人たちにとっては特別な時にしか手が届かない大変なぜいたく品であった。お砂糖を入れることによって、お米を扇ぐと砂糖が結晶化し、それが光沢を帯び、シャリが美しく見える。食文化の中に見た目というものを大切にしてきた日本人ならでの繊細さが垣間見える瞬間だ。

また、書籍や画像を見せながら、お寿司には関東の「江戸前寿司」と関西の「押し寿司」があり、その違いを具体的に説明する。「手まり寿司」は、関西では舞妓寿司と呼ぶ。家庭で作るのは食卓を一家団欒囲み楽しめる手巻き寿司、さらに手軽なのはちらし寿司。祝い事に喜ばれる巻き寿司のアート寿司と様々な寿司の種類についての説明が続いた。お寿司をきっかけに文化的な背景やご当地寿司にまで話は膨らんでいく。旅行者たちが2~3時間の教室で食文化の基本に触れ、さらにもっと知識を深めたいと思うきっかけづくりにしたいという。

「私は、もともと教員であって生え抜きのシェフではありません。生徒たちが、『先生、なんで?』と質問してくることに対し、きちんと答えてあげることで、その疑問となる点と点をつなげてあげたい。ただ、楽しむだけではなく、いろいろなことを感じ、知る和食を伝えたい」これが秋山さんの原点だ。

英語教師から料理教室の先生へ転身

和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的に日本食ブームに。日本を訪れる外国人旅行者からの料理教室への問い合わせや英語で料理を教えてほしいという声が増えていき、週5回開催の料理教室「Buddha Bellies Cooking School Tokyo」をスタートさせた。 「生徒にもっと新しいことに挑戦しろとか、英語はツールであって、何か伝えたいことがなければ、英語が話せても意味がないと自分でいつも言っていました。でも、あるとき私は一体どうなのだろうと思ったのです。」と英語を教えていた経験から秋山さんは語る。

現在は、2020年の東京オリンピックに向け、誰でも和食を英語で伝えられるよう地方自治体や大手企業と協力しながら、講演活動などを行い、その活動の幅を広げている。

また、長年レッスンで培った和食を伝える上での英語表現、教室運営のノウハウ、宗教によっては気をつけなければならない食材など事細かにかつ具体的に紹介する本を執筆中だ。今後の展望としては、短期・長期留学プログラムに取り組んでいる学校と事前文化研修の一環として教育現場と共に協力体制を図り、長年お世話になった教育現場に恩返しができたら、と考えているそうだ。

体験型の英語学習法

語学は、体験しながら学ぶやり方と授業でテストのために学ぶ英語では学習のスピードが全然ちがってくる。実際に、手を動かして、五感・言葉・動作すべてを使う料理は、まさに体験型の極みであり、言語を学ぶのにとても適しているそうだ。

また、秋山さんはレシピを知っている料理でも英語で書いてある本を探して読み表現方法を学ぶ。知りたいと思うものは、吸収が早いので自分が好きなジャンルを見つけて英語で読んでほしいと言う。今は、日本にいながらメールは英語で書き、教室では英語を話し、洋書の料理本を読むという英語漬けの毎日を送り、日々参加者たちから新たな表現を学ぶことも多い。ただ、こうした環境ではなくても、BBCなど英語でニュースを読む習慣をつけると海外で起きている出来事や表現を知ることができる。日本にいても身近な興味をそそる話題に目を向け、生活の中に英語を取り入れる工夫をしてもらいたい。

(文責 えいごネット編集部)

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