コラム~竜巻

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東京大学大学院工学系研究科

非常勤講師

                           森村 久美子

 

 今年の日本列島は異常な気象による災害が多発しています。台風による被害も例年以上に大きく酷くなっています。これらは地球全体の温暖化の影響とも言われていますが、原因はそれだけとは限定できません。1) およそ気象現象には様々な要因が複合的に絡まり合って想定以上の被害をもたらすことが多いのです。

 

 2) 備えあれば憂いなしといいますが、気象現象に対して十分に備えられれば被害は少なくて済みますが、往々にして準備した規模より大きかったり、準備できないほど突然起こったりして人々を災害に巻き込んでしまいます。3) 突然起こって予期できない現象のひとつに竜巻があります。「オズの魔法使い」でも竜巻によって飛ばされたところからお話が始まるように昔からアメリカのカンザスなど中南部の内陸では竜巻がよくおこります。北極海からの寒気とカリブ海からの暖気がぶつかることで大気が不安定になって年間1000個ぐらい起こるのですが、近年では日本でも内陸のみならず海沿いの県でもよくおこっているようです。山沿いでは下降気流のため比較的発生しにくいようです。


1961年~2015年 竜巻発生分布図(全国)

出典:気象庁ホームページ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回は竜巻について学んでみましょう。


 竜巻は一言でいえば「激しい空気の渦巻で、大きな積乱雲の底から漏斗状に雲が垂れ下がり、陸上では巻き上がる砂塵、海上では水柱を伴う」ものですが、雷を起すことで知られる積乱雲が発達した結果起こります。地上で何らかの原因で突風が回るように吹くことがあります。その時4) 前線や低気圧、台風などのために空気が暖められると上昇気流と言って周りの空気を吸い上げるようにして渦巻きを上方へ引っ張ります。気圧の差が大きいとそれがどんどん細くなって、その分スピードが増して細くて強い気流になり、すごい勢いの上昇気流が起こります。それが竜巻です。なお、積乱雲由来でそこから垂れ下がった漏斗状の雲が地面に達したもののみを竜巻というと気象庁は定義づけています。竜巻が起こり始めるとまずゴミや軽いものが吹き上げられます。運動会でプログラムやお弁当の包み紙が飛び散ったと思うや否やそれが急に強くなり、ゴーッと音がして机やテントなども飛ばされてしまう情景をTVなどで見たことがあるでしょう。ひどい時には車や家が壊されることもあるほどの破壊力です。その時には当事者は分かりませんが、離れて見ていると地面から上空に達する漏斗状の雲が見えるはずです。


 建物の窓からも風は侵入してきますからできるだけ窓の無い部屋や頑丈な机の下にもぐり頭を保護します。外の様子が気になりますが窓から外を見ていると吹き込んできた風で窓ガラスが割れ怪我をすることがありますのでカーテンを引くなどして注意しましょう。屋外で竜巻に出会ったら、できるだけ頑丈な建物に潜り込むかその陰に隠れます。付近にそういった建物がない場合は側溝や窪地に身を伏せます。


 遠くでゴロゴロと音がしたり冷たい風が吹いたり黒い雲が見えたら積乱雲が近づいている証拠です。人によっては耳鳴りがしたりすることもあります。積乱雲が近づくと雷が起きたり、竜巻が起こったりしますのでその気配を感じたらすぐに行動を起して安全な場所に身を隠しましょう。

 

 5) 一口に竜巻と言っても、上に吹き上げる竜巻や上から下へ吹き付けるダウンバースト、横へ転がっていくガストフロントなどの変形があります。ダウンバーストは積乱雲から気流が下降し地表にたたきつけられ水平に吹き出します。またガストフロントは重い冷気のかたまりが周りの温かい空気の外側へ流れ出すことです。下表で比較してみましょう。


気象庁HP 主な突風の種類より

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/tornado1-1.html

出典:気象庁ホームページ

 

 日本では年間20-30個程度ですが9月10月に発生することが多いようです。これらはいずれも突発的に起こり予期することが難しいので気配を感じたらすぐに避難しましょう。

 


※ コラム記事の下線部分1-5 とその英訳例 


1) およそ気象現象には様々な要因が複合的に絡まり合って想定以上の被害をもたらすことが多いのです。

 

2)備えあれば憂いなしといいますが、気象現象に対して十分に備えられれば被害は少なくて済みます。

 

3)突然起こって予期できない現象のひとつに竜巻があります。

 

4)前線や低気圧、台風などのために空気が暖められると上昇気流と言って周りの空気を吸い上げるようにして渦巻きを上方へ引っ張ります。

 

5)一口に竜巻と言っても、上に吹き上げる竜巻や上から下へ吹き付けるダウンバースト、横へ転がっていくガストフロントなどの変形があります。

 

 

1) In general, various factors are intricately intertwined when meteorological phenomena cause more damage than expected.


2) There is a saying “No worries if prepared”, and damage can be mitigated if one is sufficiently prepared for meteorological phenomena.


3) One of the unexpected phenomena that occur suddenly is the tornado.


4) When air is warmed due to the front, low pressure, typhoon, etc., it is called ascending current, which draws up the surrounding air and pulls the spiral upward.

 

5) There are various deformations for the term "tornado", such as tornado that blows up, downburst that blows from top to bottom, and gust front that rolls sideways.

 

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