コラム~高分子ポリマー

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森村久美子

 東京大学大学院工学系研究科 上席研究員


今回は高分子ポリマーについてお話しましょう。高分子ポリマーって聞いたことがありますか。


 物質は原子という小さい粒子からできていますが、これがいくつか集まったものが分子です。皆さんは何かをよりどころにして友達とグループを組んで集まりますが、他にも家族とか地域の集まりとか、いろいろな特徴を持った集まりがあるはずです。それが分子になります。分子には小さい集まりもあれば、大きな集まりもあります。①原子数百個ぐらいの小さな集まりが低分子あるいはモノマーで、原子一万個以上の大きな集まりが高分子(high-molecularあるいはpolymer macromolecule)あるいはポリマーと呼ばれます。つまりポリマー自体が高分子のことを表しますので、高分子ポリマーとよく言われますが、実は英語ではpolymeric polymerとなりますから重複していますね。


  私たちの身の回りを見ると高分子と呼べるものがいろいろあります。高分子と一口に言っても、天然高分子と呼ばれる生体の中で作られた肉や植物など、合成高分子と呼ばれる人間が作り出したペットボトル、ビニール、ポリ袋などのもの、無機高分子という天然物ではあるが生体の中では作られないガラス、宝石などのものに大きく分けることができます。    高分子の全般的な特徴は、軽く、加工がしやすく、衝撃にも強いという一方で、熱に弱く、劣化しやすいという欠点があります。スーパーで食品を買うとポリエチレンのトレイに乗せて売られていますが、トレイに乗せたまま食品を電子レンジで加熱しすぎて、うっかりトレイを溶かしてしまったことはありませんか。また、よく日に当たる洗濯物のピンチがバリバリになって割れてしまうこともありますね。これらは高分子のものが熱や日に弱いということの表れです。こういった消費財的なものは合成して作られるもので充分ですよね。一方、車や家など耐久して使いたい物は金属やセラミックなどで作られています。これらは衝撃に強く、熱に比較的強い、劣化しにくいという特徴を持っています。


  みなさんはウールや絹、綿などの天然繊維の服と○○○○の極暖とかエアリズムなどの商品とどちらを着ることが多いですか。最近ではスポーツのユニフォームや直接肌につける肌着さえ速乾性、軽さなどの観点からポリマーを原料とする機能性の高い人工繊維で作られていることが多いですね。②これらの生地は滑り込んだりすると摩擦で焦げてしまうこともあります。それもポリマーの特徴です。天然繊維も天然高分子ですが通気性が良い、温かいなどの特徴があり、合成高分子はそれに少しでも近づこうとがんばっているのですね。○○○○のウエアも毎年改善されてきているように感じます。

 

  こういった合成高分子は主に石油から作られています。石油は低分子ですが、ポリマーはそれがたくさんつながってたんぱく質のような構造を実現しようとしている高分子なのです。ですからポリマーの服やペットボトル、トレイなどは熱すると溶けて小さくなってしまいます。

逆に言うと、これを生かしたのがリサイクルですね。プラスチック製品やペットボトルなどを回収する活動が盛んですが、ポリマー製品を回収した上で加工し、新しい形にして再利用したり、化学反応を起こさせてモノマーや化学原料など他の分子に変換したりしています。また③ペットボトルやプラスチック製品を燃やすことで発生する熱を利用して発電をしたり、温熱利用したりすることもあります。

 

  先ほど述べたスーパーの食品トレイやペットボトル、ポリバケツなどは硬い高分子ポリマーの代表ですが、一方で、やわらかい高分子ポリマーもあります。小さいカップのようなものの中に入った緑色のねっとりとした冷たい糊のようなもので壁などに投げつけるとペタっと張り付きますが、そのうち落ちてきてまた糊状のものになるスライムと呼ばれるものを触って遊んでみたことがありますか。この変な感触、つい夢中になって遊んでしまいますよね。これは固形と液体の間の半固形と呼ばれますが、これもやはりポリマーの一種です。ポリマーである合成糊にホウ砂の水溶液を加えて作ることができます。これはやわらかいポリマーですね。


  また、やわらかいといえば、化粧品やシャンプー、スプレーの中に溶け込んでいる水溶性のポリマーもあって、これは肌や髪の表面を覆い、カバーをすることによってつやを出したり、保護したりします。


  最近、最もよく耳にするのは吸水性ポリマーです。水分を吸収し、吸着したまま保つ保水力があるので、オムツや生理用品などに広く使われています。赤ちゃん用のオムツなどは年々研究も進められていて、吸水量、吸水速度、保水力などがどんどん高まっています。また2011年の東日本大震災のあと、福島第一原子力発電所から放射性物質に汚染された水が大量に流出しました。このときにも壁面の亀裂からの漏れを防ぐために高分子ポリマーが投入されました。汚染水を吸収させて回収しようとしたのですが、これが効果的だったかどうかはよくわかっていません。


  どうですか。高分子ポリマーがいろいろなところに存在しているのが分かりますね。皆さんも身の回りでどんなところにどんな特徴を生かして高分子ポリマーが使われているか調べてみましょう。

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 ※コラム記事の下線部分①・②・③の英訳例

  1. 原子数百個ぐらいの小さな集まりが低分子あるいはモノマーで、原子一万個以上の大きな集まりが高分子(high-molecularあるいはpolymer macromolecule)あるいはポリマーと呼ばれます。

     

    Small groups of molecule with several hundreds of atoms are called monomers or low-molecular, however, big groups of molecule with over ten thousands of atoms  are called high-molecular or polymer macromolecule.

     

  2. これらの生地は滑り込んだりすると摩擦で焦げてしまうこともあります。

    These fabric could be burnt when people slide in wearing them.

     

  3. ペットボトルやプラスチック製品を燃やすことで発生する熱を利用して発電をしたり、温熱利用したりすることもあります。

    Utilizing the heat obtained by burning plastic bottles or plastic products, we could generate electricity or use the thermal energy for something.

     

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